ぶらり京都・秋物語 |
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いにしえから脈々と受け継がれてきた伝統と、新しい時代の文化が共生する街 | ||||||||
山並を埋め尽くす燃えるような紅葉と伝統的な秋祭。古き良き時代と新しい文化。京都には、いつ来ても新しい発見があります。 | ||||||||
京都の伝統の息遣いを肌で感じられる秋祭 | ||||||||
いつもは静かな山あいの町が祭の日は松明に照らし出される |
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秋は実りの季節。日本古来の風物を守り、受け継いでいる京都では、祭の季節でもあります。春の葵祭、夏の祇園祭とともに、京都三大祭のひとつに数えられる時代祭が行われるのは、10月22日。平安遷都千百年を祝う目的で、平安神宮が創建された明治28年(1895年)10月25日に初めて催されました。桓武天皇が都を京都に遷された日にちなんで、初年度の翌年以降、10月22日に定まったそうです。 祭の行列は、明治維新の時代から延歴時代までの7つの時代を18の行列に分けて構成されています。1万2000点にもおよぶ調度、衣装、祭具などは、綿密な時代考証が重ねられ、京都の伝統工芸技術の枠を集めて再現されており、実に見事。その時代時代の息遣いまで感じられそうで、見るものを圧倒します。雅びやかな京都の文化を肌で感じられる祭だといえるでしょう。 時代祭と同じ日の夜、京都の奥座敷・鞍馬にある由岐神社で、鞍馬の火祭が催されます。由岐神社は、鞍馬天狗や牛若丸の修行の地として有名な鞍馬寺山内に位置しています。 祭の起源は、10世紀にまで遡ります。天慶3年(940年)、鞍馬の地に遷宮された際、鴨川の葦で松明をつくり、道々に篝火を焚いて神道具などを勧請したのが始まりとされています。当時の行列は約1kmにも及び、国家的一大儀式であったそうです。 祭の日の夕刻になると、氏子町内の家では軒先に篝火を焚きます。午後6時「神事にまいらっしゃれ」の合図で鞍馬街道の氏子の各戸の篝(エジ)がいっせいに点火され、祭はスタート。小松明に続き5kmほどの大松明をかかげ、「サイレイ、サイリョウ」の掛け声と共に町を練り歩き、幻想的な祭の炎と人々の熱気が、鞍馬の山を包みます。 |
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新しい文化を融合し発展していく京都の街 | ||||||||
様々な祭で強く時代を感じさせる一方、街は新しい文化も取り入れてその姿を変えています。 京の台所・錦市場のある烏丸界隈は、区画整理が進み、市電が通ったことなどから、金融のメインストリートとして発展した街だそうです。今も、烏丸通を歩くと、明治時代以降に建てられた各銀行の威風堂々とした建物が見られ、建物ウォッチングを楽しめます。また、当時の建物をそのまま利用している施設もあります。たとえば、京都の文化を総合的に紹介する複合文化施設「京都文化博物館」。 三条通りに面する別館は、旧日本銀行京都支店だった明治時代の洋館をそのまま利用しているそうです。レンガ造りの外観や玄関のアーチ型のひさしなどに、古き良き時代の面影を感じることができます。 新しい文化と融合した建物もあります。大正15年に、京都三条烏丸に開設された電話交換オペレーションセンターの洋館が、2001年、新たな複合商業施設として生まれ変わったのが「新風館」。中に一歩、足を踏み入れると、中央が吹き抜けになっており、外観からは想像もつかないほど斬新な造りに、驚かされます。施設内には、流行のブランドショップやレストランなどがあり、若者はもちろん、OLやサラリーマンも立ち寄る新しい文化の発信地として注目もスポットとなっています。 新しい文化と上手に折り合いをつけ、融合し、発展してゆく京都の街は、訪れるほどに新たな魅力が発見できる場所。涼しげな秋風に誘われるまま、ゆっくりと散策して、自分だけのお気に入りのスポットを見つけるのも楽しいのでは。 |
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