ぶらり大阪夏物語

淀川河川公園の堤防沿いから望む、淀川沿いの夕景。
広々とした芝生広場は、休日の散策を楽しむ人々が行きかいます。

 
 
寝屋川市は特例市の中では、2番目に人口が多い(24万人超)、大阪近郊有数のベッ ドタウンです。大阪・奈良の府県境となっている生駒山系より続く香里丘陵は、古代 「交野ケ原(かたのがはら)」と呼ばれていた緑豊かな土地でした。
今回は、京阪・淀屋橋駅から急行 で約20分という好アクセスを誇る人気の住宅地・香里園界隈を歩いてみました。

 明治末期に京阪電鉄が開通した直後に住宅地として発展し、「香里遊園地」という 遊園地が開園しました。もともと郡(こおり)遊園となっていたものを、当時、遊園 地として繁栄していた「香櫨園(こおろえん)」にちなんで「香里」とし、1910年に「香里駅」が誕 生しました。その後、さらなる住宅地開発に伴い、遊園地は1912年に枚方市に移転。 現在の「ひらかたパーク」の前身となりました。遊園地が移転してしばらく後に、駅 名は「香里園」に改名されたそうです。

 香里園駅は、2004年に駅舎がリニューアルされました。駅前ロータリー整備や駅舎 までのエスカレーター新設などにより、より快適な駅になっています。現在、駅周辺 では、道路整備や関西医大付属香里病院の建替(2010年以降完成予定)に伴う駅前広 場の整備などが予定されています。

京阪香里園駅
リニューアルされた京阪香里園駅の駅舎。駅前のロータリーには、花壇が整備され、 整然とした快適な空間となっています。

 
市民の憩いの場として再生する大阪国際空港
 

  京阪「寝屋川市駅」から京阪バス「太間(たいま)公園」行きで約15分、終点で下車すると、 淀川河川公園「太間地区」「木屋元(こやもと)地区」があります。淀川河川公園は、淀川の広大 な自然環境を活かして造られた、日本最初の国営河川公園です。大阪市内から京都府 域までに及ぶ全34地区は、その敷地面積を合計すると180万m2にまで及ぶそうです。
「太間地区」には、陸上トラックや野球場、芝生広場、「木屋元地区」には、ストリー トバスケットのコートやサッカー、ラクビー場などの各種施設があり、市民たちに広 く利用されています。

 公園横の堤防沿いの遊歩道に設置されているのは、「茨田堤(まんだのつづみ)」の碑。日本書記に 「仁徳天皇11年(323年)に堤築造」と記されている堤(堤防)がこの付近のことだ そうです。この「茨田堤」は、日本最古の堤防というのが通説となっています。堤の 築造に関しては、渡来人の秦氏の技術協力を得たと言われています。その由来からか、 付近には、「秦(はた)」や「太秦(うずまさ)」という地名が現在でも見られます。

 淀川河川公園は、1986年に市制施行35周年を記念して制定された「寝屋川八景」に も選ばれています。淀川に育まれた豊かな自然とスポーツなどに興じる人々の明るい 声が響く公園は、癒しの空間と言えるでしょう。

心斎橋筋商店街 日本書紀にも記され、日本最古の堤防とされる「茨田堤」の碑。
古代、この周辺の地域を水害から守り、豊かな地にしたそうです。

歴史と現在が交差するJR伊丹駅周辺の街づくり
 
心斎橋.「湯屋が谷弘法井戸」は、地元では「やがたん井戸」という通称で呼ばれているそ うです。  
  寝屋川市内には、弘法大師が開いたとされる井戸がいくつかあります。京阪「香里園駅」駅より東へ5〜6分ほど歩いた住宅地の中に「湯屋が谷弘法井戸(ゆやがたにこうぼういど)」があります。

  市内にある弘法大師ゆかりの井戸で、現在でも水が湧いているのは、ここだけだそう です。井戸の後方には児童公園があり、市民の憩いの空間となっています。

 井戸からさらに数分、東南へ歩いていくと、友呂岐(ともろぎ)神社があります。この神社には 古くから伝わる「お弓式」という神事があり、毎年、成人の日に行われているそうで す。さらに、しばらく行くと、寝屋川八景のひとつである「成田山不動尊」がありま す。

  1934年、千葉県・成田山新勝寺の大阪別院として建立されました。現在は、自動 車の交通安全祈願の寺院として全国的にも有名です。境内では、毎年、お盆の8月15 日朝には、先祖を供養する「盂蘭盆会施餓鬼供養大法会(うらぼんえせがきくようだいほうえ)」が行われます。夕方から夜 にかけては、飛び入り参加自由の盆踊り大会が開催され、たくさんの露店が並び賑や かです。
  

  寝屋川市内の夏の恒例行事としては、打上川(うちあげがわ)治水緑地で開催される「寝屋川まつり」 があります(今年は8月25日・26日開催予定)。
  毎年、趣向を凝らしたイベントが催され、市民たちの楽しみのひとつとなっています。

 閑静な住宅地に、歴史の面影が自然に溶け込み、街全体に落ち着いた趣がある香里園。夕方の駅で、電車を降り、この街に帰ってきた人々のほっとしたような表情が、 街の魅力を物語っているようでした。

錦絵レリーフ.「成田山不動尊」には、年間約20万台の車が交通安全祈願に訪れるそうです。高台 に位置し、境内から周辺の住宅地が見渡せます。