「エステムコート門真ディアーナ」で行われた「消火補給水槽」の取り替え作業のレポートです。
■ マンションの消火活動のための設備
まず、建物の外にある消火活動用の送水口からつながっている連結送水管についてご説明しましょう。
連結送水管とは水を火災が発生した階まで送水できるよう、高層建築物などに設置している管のことです。
「エステムコート門真ディアーナ」のようなマンションの場合、外の送水口から屋上までつながっていて(図1参照)、
3階以上の各階にひとつずつ放水口が設置されています。
火災発生時に、ポンプ車から外の送水口に送水し、消防隊が放水口にホースを接続して消火活動を行います。
■ 「いざ」というときのための消火補給水槽
そして今回取り替えたのは、屋上にある消火補給水槽です。
図1のように外の送水口までつながっているのは、連結送水管の中を水で満たす必要があるからです。
火災のときにホースから水を噴出させますが、それにはすごい水圧がかかり、
消防士が二人がかりでホースを持たないと振り回されるぐらいになります。
もし、連結送水管の中に空気が入っていたら、噴出する水の出具合が一定でなくなり、
ものすごく振り回されて消火活動も危うくなります。
また水の勢いを保つためにも連結送水管の内部を常時、満水状態にしておく必要があるのです。
屋上の消火補給水槽の内部が水で満ちていれば、連結送水管の中も水が満ちているということになり、
正常に「待機」の状態になります。
でも、屋上に設置されていますので、紫外線や雨や風が原因で酸化腐食が進行します。
そのままにしておくと、錆びた部分から漏水して水位が低下し、正常な消火作業ができなくなってしまうこともあります。
そこでこの度、大規模修繕工事に伴って、消火用補給水槽も取り替えることになりました。
■ 安全を考えて、ウエハチャッキバルブを採用
消火用補給水槽の外には「逆止弁」が取り付けられています。
火災のときに、水槽内にポンプ車から送水した水が逆流すると、連結送水管内の水圧が下がって十分な放水ができなくなります。
そのための逆止弁で、逆流を防ぐのです。
今回の取り替え工事の際、この逆止弁も取り替えました。
しかも、従来のスイングチャッキバルブやリフトチャッキバルブではなく、ウエハチャッキバルブに替えました。
このウエハチャッキバルブとは、バイパス回路を内蔵し、優れた封止性を持つなど、
今まで付けていたものより多機能・高性能な衝撃吸収式逆止弁です。
しかし形状が違うので、配管も替えねばならず、工事の手間はかかりますが、
安全安心を第一に考えてウエハチャッキバルブを採用しました。
このへんは、担当者のこだわりですね。
朝から屋上に新しい消火用補給水槽を運び上げて、配管工事や従来の水槽の撤去、
新しい水槽の設置などを行い、終了したのは午後4時。
作業員の皆様、炎天下の屋上での作業、ご苦労さまでした。
この日は設置までで、翌日に点検や周りの配管のチェックなどを行います。
火災がない限り使われることのない設備ですが、もしものときには絶対必要です。
使われることなく、次の大規模修繕工事をむかえられますように……。